井山が中央闊歩して、ぶっちぎりの勝利


第37期棋聖戦七番勝負・天下分け目の第5局を観戦して

張 栩棋聖 井山裕太本因坊


井山はなぜ負けたか



隅は定石中毒で安逸!  呉清源


                              2013年2月28日    高野圭介

碁も入れ替えた
天下分け目の七番勝負第5局は井山の方針替えが女神を呼んだ。

第4局から先番の入れ替えと同時に、碁も入れ替えた。
何と、張羽が隅の亡者となり、第4局の井山をやってしまったのだ。

否、井山が意識して、中央を闊歩した。
白88のとき、私は破顔の術で・白に軍配を贈ろうと、乾杯した。


週間碁での解説

ここからの井山の打ち回しは絶品の限りだった。白88がバランス感覚に長けた一着。
局後、張は
「この手を打たれるまではそんなに悪いとは思っていませんでした。」
と、舌を巻いたほどである。



上図・参考図3の尾辺りで、実利は黒も相当あるように見えるが、中央の白には、
黒への攻めを睨みながら、”見えない地”が豊富。つまり、白は全局的に手厚いのだ。

それが以降、次第に明るみになってくる。

本局、井山は第四局とは別人のような打ち回しを見せた。まるで前局の借りを返すように。

週間碁(2013年3月11日付)記載の記事より

中央への勢い
後は、白88の時点での、予想通りの結末となってしまった。

井山の栄冠は、第6局で、この一点
「中央への勢い」にあるのみ。
第6局は、序盤、隅にこだわった方が、失うことになろう。