(1) 著戦・序盤右上隅23手までの応接

 1.   
緒戦・序盤右上隅の応接


石の持つエネルギー

 2.
打ち掛け時における張の苦悩。

 3.  
井山が中央の白を攻めず、左下隅の三三を無視したか?

 4.
張が満を持しての反撃なるか。


                                      高野圭介



井山裕太本因坊 史上初6冠達成


第37期棋聖戦七番勝負第6局 3月13日(水)



N氏の意見
 それで強豪の意見が逐一入ってきました。

 N氏(参加者中一番過激な意見の持ち主)
白は16とはね、押さえと変わってから上辺に打ち込む予定だっただろうが、
手を抜かれ17と付け越されて動揺し、22ととんでもない抜きを打ってしまった。
敗着である。

白22は上辺の白2着の真ん中辺りに打ち込んで、戦う以外勝負にならない。

 牛窪先生評
 牛窪先生のご意見は、
棋士仲間では白の張羽は碁を難しくしたという見解が多かった。

おそらくここから張の挽回はたいへんなエネルギーが要ることだろう。

 高野の見解
 
勝負が決まったとも言われる右上隅の変化について

 
白はコスミの連結で、眼形を作るには最も優れた石の形で構成され、
間に合わせ的と言う勿れ、
眼形豊富な専守防衛としては最強の自衛隊形でしょう。



vs vs vs

 
黒は傷の無い一枚板で
、しっかり繋がっている。
最強のペルシャの大軍を打ち破った、
斃れても斃れても体制を崩さなかったというスパルタ式海兵隊形。




 白は重苦しく、ずんぐり形で隅はすっぽかされた。
黒は両サイドを打っていて、大満足。

形勢はもはや黒乗りと言っも言い過ぎでは無いと思う。


週間碁における

検討陣の互角説


観戦中、形勢判断は「互角」と伝えてきた。
私は、何か根拠があるはずとしながらも不審だった。
これはそのまま伝えることは出来なかった。

週間碁に曰く
上辺は割を喰ったかも知れないが、先手を取った白は下辺・24と大場を占め、
黒25に白26の一間は下辺黒からのウチコミを牽制した一手であった。
それでも井山は黒27と打ち込んでいった。


つまり、この時点は互角に近いが、
問題は次の黒39.41.45と連絡を許したこと。
そのように理解できる記述があった。


 石の持つ

エネルギー


白黒の「石の持つエネルギー」数値計算
 村瀬 有の著書に「石の持つエネルギー」がある。
石の数値で碁の優劣を計算しようとする試みです。

 その基本となるエネルギーは、例えば、
2個の鉄柱は直連と言い1.000. コスミは0.707  
ケイマは0.447 ハザマは0.354 などなどと計算されている。

但し、石の方向、筋形、などなどは無視し、石のツナガリを主眼に置いている。
アゲハマは無視して計算している。中押しの碁は計算できない。
細碁で、終盤のヨセまで打たれた碁にしか通用しないと言う制約がある。

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 今、右上隅の白黒8個ずつ(取られた石1個も入れて)の総和は?という計算方法です。

黒=1.000×4+0.707×1=4.707(取られた石=0)
白=1.000×2+0.707×2=5.535

何でそうなるのか?なかなか難問だが、皆さまも一度取り組んで下さい。