淡水句会

2020年11月19日(木)



高野虚石:吟詠俳句集





月例 淡水句会


                                  高野圭介









敬愛する中杉師に初めてお目に掛かりました。  虚石



 
本日、お初にお目に掛かり嬉しく存じます。
碁の道を究められ、なおかつ俳句の道に挑まれる御姿に敬服致しております。
高浜虚子と橋間石を併せた俳号にその意欲の高さを感じます。
本日の淡水サロン句会への句を記させて戴きます。

          紅葉して栗に寄り添ふ楓かな       隆世
マスクしてものを言わざる人となる
日の志摩の南ヶ丘に避寒かな


当日の特選作



中杉 特撰


小春日や残る思ひも無くなりし    山田早弓

 高野 特撰
 
結び合ひ重なりあうて枯るるかな   中杉隆世



高野 入選

 
マスクしてものを言わはざる人となる 中杉隆世

高野 入選   
秋晴るる八ヶ嶺の翳透き徹り    中杉隆世



高野 入選


青空に張り付くばかりの紅葉かな  山田早弓



高野 入選


冬薔薇開ききらない蕾あり     今城公徳





中杉隆世俳句十段のこと

                         高野虚石

初めてお眼に掛かった隆世師はとんでもない達人だった。
師は「無常の詩の人」ぐらいしか判らなかった。

この度、句会に臨席して、
句を正確に読み取るスピードと汲み取る深さに驚嘆した。

各人出句の精記が回ってくるのだが、師は斜め読みに
さっと読んでは半眼に閉じる?それが続く。速い。
いつ書き留められたか、分からない。批評も出来ている。

ふと、思った。NHK俳壇の選者が何千句から数時間の間に、
どうして特撰一句を選ぶか? いつも疑問だった。

師に伺うと 「スーッと見ていくと、
秀句の字面が自ら飛び込んでくる。文字と瞬間の格闘です。」と。

一般に、白と黒の石と石の織りなす石模様がある。
碁石の静かなたたずまいを感じる。
それが手どころになると、筋と形からヨミの戦いとなる。

碁の達人がその局面を一瞥したら、
「瞬間に、手どころ、形勢判断が掴める。」
「この一点」と決めたら、途端、白黒の石が絡み合い、
無数の変化が描かれ、どれかの着手を決断する。

師の句に対する処遇はそれと寸分違わない。
師は俳句十段だった。