-死刑囚の子、殺された母と殺した父へ-
土佐保子 |
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-死刑囚の子、殺された母と殺した父へ- HP紙上ドキュメンタリ 土佐保子 |
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死刑囚の父 | 冒頭、死刑囚の父に息子が手紙を書いているシーンが映し出されます。 残されている時間は限られているし、 僕にとってはたった一人の父ですからと息子は言う。 息子の両腕には数え切れないほど リストカットされた傷跡が何本も残っている。 |
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母を殺害した | 13年前、母を殺害したのは父だった。 その日、当時12歳の息子は父に誘われて夜釣りに行く。 車の助手席には母が眠っていた。 しかし、母はその時すでに父の手によって自宅の浴槽で殺害されていた。 息子の目の届かない所で母を海に捨て、 「今、なにか大きな音がしなかったか」と息子に聞く父。 息子は言う。 僕を利用して人間じゃないと思った。 怒り、悲しみ、言葉で言い表せない憎悪、憎しみ、 この手で殺してやりたいと思う衝動。 |
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生活が一変 | 父が逮捕され、生活が一変した。 万引きをし、公園のベンチで寝る日々。 ベンチで「こんな僕でごめんね。今、そちらに行くからね」と 600錠の睡眠薬を一気に飲み込む。 今までに経験したことのない強烈な吐き気で目覚める。 今、25歳の息子は自宅ポストを覗くのが日課になっている。 家族も友人もいない土地で一人暮らす。 |
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拘置所通い | 毎週送られてくる父からの手紙には息子の安否が綴られている。 息子は父からの手紙に刑が執行されていないと安堵する。 8年前から息子は父のいる拘置所へ通い続ける。 怒り、悲しみ、恨み、苦しみ、憎しみを父にぶつけようと思っていた。 父の姿を見たとき、頬はこけ、目の下にはクマが出来、 ガリガリに痩せていた。 父は何度も息子に謝る。 浴槽で母が殺害される最後の言葉は息子の名前だった。 |
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父と母 | 憎いし、一生許せない。だけど死んで欲しくない。 父の死刑を望まないことで、母に対して新たな思いを抱くようになった。 父の死刑を望まない僕に母は悲しんでいるかもしれないと。 父を助けたい思いと母への罪悪感が常に平行線上にある。 母が浴槽で殺害された時、2階にある部屋で眠っていた。 「助けてあげられなくてごめんね」と慟哭する息子。 |
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相克の日々 | 父の面会後に必ず行く場所がある。 母のお墓、母が投げ込まれた海。 息子はお線香を供え手を合わせ母に話しかける。 今も海に背を向けてプカプカ漂う母と、 外灯に首をくくってぶら下がっている父の夢を 毎日のように見ると言う。 そして、最後に現実を受け止めて、背負っていくしかない。 父とは切っても切れない存在だし刑が執行されると つらいだろうけど前に進んで行こうと思っていると言う。 |
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衝撃の現実 | この番組は残された家族の現実が描かれている。 けれでもあまりにも衝撃が大きすぎて 感想はと問われても言葉が出てこない。 父は母殺害前に養父をも殺害している。 今、殺人事件のうち半数が親族間殺人を占めている。 注:高野先生のエッセイ 「たった人一人殺したぐらいで死刑」を読ませていただき、 死刑のあり方や裁判員制度について考えさせられました。 |