コモキュウ・カルタ(総称) 創作囲碁格言カルタ 中山典之先生監修 創作 高野圭介 製作 宮垣 実
囲碁の格言は数多く知られている。いずれも寸鉄刺す如く、囲碁深奥の棋理を網羅し、 ピックアップして、それぞれが囲碁愛好者の座右の銘となっている。 本因坊丈和と言えば豪力無双のの力碁で、 聖と謳われたのは先の道策、後の丈和であった。 その丈和が名人の訓戒を遺している。 地取り、石取り、敵地へ深入りし、石を逃ぐる、みな悪し。 それ地取りは隙なり。石取りは無理なり。深入りは欲心なり。石を逃ぐるは臆病なり。 故に地と石とを取らず、深入りせば、石を捨て打つべし。 云々 私は橋本宇太郎先生から戴いた座右の銘がある。 「須く棄つべし、須く相応ずべし」というもので、もちろん出典は囲碁十訣である。 今回の格言カルタには古色蒼然としていて、いささか異質と思われ、 敢えて外したが、それらの格言を選び、あるいは創作して、七五調に整え、 読み札・取り札として、イロハ四十七文字の「囲碁格言カルタ」を編集した。 編集に当たっては 「囲碁イロハ歌」の大家・中山典之先生監修の下に、 「金版」をようやく完成に至った次第で、カルタも製作済み。 「銀版」は難行作成中で、金版の補完程度の認識です。
さて、その経緯である。 実際に、カルタを取ってみないと、真価が分からない。 今回、ゲームとしての「カルタ会」を催した。 その上で、自分で感じたり、人のご意見などから、新しい発見があった。 どうもカルタ会としては 小倉百人一首のように、取り札(下の句)は文字だけが趣があるようだ。 ゲームとしてカルタを取る枚数は100枚ぐらいが適当ではないか。 また、カルタを取るのは一度ではもの足らず、カルタ取り2回程度が適当のようだなぁ。 何と、ちょうど一組が誕生した。しかも、それで、 一般衆知の格言としては後はもうほとんど残っていないし、言い遂せた感がある。 期待に違わず、過不足なく、巧い具合に出来たのである。 ところが、巧い具合と言っても、捨て去った中に、 惜しいのも、少なくはない。 補完部門を完成させて、もう一つのカルタが出来ないか? こういうご意見を受けて、せっかく、2回のゲームなら、別のを創ったらどうか。 最初のを創るとき、お蔵入りした大切なものが相当あったから、 もう一組は可能かな・・と、取り組んでみた。 何と、二番煎じの完成は難しい。 私は、その前の完成品を金版。 補完カルタを銀版と呼んで区別することにした。 でも、実際のカルタ取りはこの二つを混ぜ合わせて使うのが良さそうに感じている。 脱稿した日、期せずして読売新聞のコラムに載った。 「何事でも<イロハ>の軽視は重大な失敗につながる。 基本の軽視が世に横行するのは、イロハ・カルタが廃れたからではないか・・・以下略」 読売寸評・コラム欄より(2005.05.13) 私は「囲碁格言カルタ」がイロハカルタ・ゲームとして、棋客の間で愛好されることで、 棋理の重視という重大な役割を果たしそうに思えて、大いに期待している。 |