年齢は単なる数字? 段位も単なる数字?


囲碁の本質に関する高野エッセイの一部

 116
 置碁攘夷論

 133
置碁風からの脱却(T)

 134
置碁風からの脱却(U

 223
一着の価値の格付け

 231
碁吉会を三段論法で考える

 236
置碁と互先の碁

 238
上手と下手の対照

 325
年齢は単なる数字? 段位も単なる数字? 


                                          高野圭介

 年齢は単なる数字
 過日のこと、「年齢は単なる数字」という言葉がTVから流れてきました。
どうも美しい女性は年齢を超越している、というようなことだったのでしょうか。



 内面の魅力
年齢はただの数字であって、人の本当の魅力は内面の魅力にあります。
内面的魅力である精神年齢の高い人は、
外見や年齢に落ち込むことはありません。

なぜなら自分の勝負ポイントを、年とともに衰える外見から、
年をとっても衰えることのない内面へと変えることができているからです。

 段持ちなんだぞ
碁にも棋力のバロメーターの一つとして、
段というグレードの高さを表記する手法があります。

その昔、1980年頃のこと、アメリカから来日した
マーク・オカダ、ブルース・トムソン、エリック・ベラの三氏と
愚息を連れて、鳥取へ碁友を求めて行きました。

席上、愚息に「おっちゃんは段持ちなんだぞ」と言う人が現れたのです.

終戦後とは言え、その頃の初段はまだ、相当な棋力であったろう。

 段位の数字
かって、私は「宍粟の碁」を編纂したことがある。

ある時、新宮の清水偵吉さんが私・前野四郎に言いました。
注:私の父・琴石は大正年間の打ち手で、清水さんと琴石は同格の2段で、
父は当時の泉喜一郎プロに4子で
26勝42敗2持碁2打ち掛けの足跡を残している。

前野四郎さんの弁である。(宍粟の碁p.38)
「私のはりま新宮にもあなた位で強い子が出来た。
あなたも稽古して強くなりなさい」と言った。
その子供が後の前田陳爾九段であり、
木谷実九段であったことは知るよしも無かった。

その清水偵吉2段の棋譜が残っている。(下記)


戦前の初段は今の5段以上。2段は7段以上。
3段は8段はシッカリあります。
それは経済が緩慢なるインフレで、支えられているように、
碁の段も緩慢なるインフレが活気をもたらしています。

だから、段位の数字は単なるアクセサリーとしか
思えないという説も分からぬでも無い。

下記に記した棋譜は1級が先番で、2段に勝っている。
つまり、今の5段が7段に勝っているようなもの。
それは決して下克上でも何でもありません。


 「播磨棋観


白・前野偵吉2段  vs  先・高林松次1級
新宮町           新宮町

1927年10月9日 播磨囲碁研究会
140手以下略260手完 黒3目勝ち

播磨囲碁研究会・記念出版「播磨棋観」より

 深川鷺石棋伯評  
講評 2段 深川鷺石棋伯

本局、清水君物故の為め代わって二.三愚見を陳ぶ

白26如何。。。56にトブ方勝るべし。
黒27は直ちに4の左へ押さえて、トリキルべし。
黒29にても同じくトリキリ。
白50アタリは味消しで、良からず。
黒77は押さえないで、80に出て、切断、戦うべし。
黒99は60の右にオサエテ、隅を確保し、眼を取るべし。

本局はとてもグレードの高い内容で、高段者の碁である。 高野記



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